仕事柄、様々な指定管理者から、指定管理料増額のための質問や相談を受けるのですが、私が気になることは「指定管理料アップが当然」というような資料を自治体の担当部局に提出したり、態度をとる指定管理者が結構多いことです。
指定管理料を増額する場合、自治体の担当部局と財政部局で折衝が行われるのですが、これは民間企業同士の「商談」とは全く異なります。(トップダウンを除いて)折衝には、財政当局を「やむを得ない」と認めさせるような詳細な資料を作成することが基本です(私が在籍していたころは、新規予算や予算増額には、中四国のすべての県の同様の予算措置を調査することが最低条件でした。)。
財政部局担当者は手強く、せっかく苦労して資料を作成しても、重箱の隅をつくような点を指摘して、修正を要求するということが何回も繰り返されます。このため、担当部局が根負けすることも珍しくなく、担当者の士気や意欲が高くないと、予算増額が、要求に近い金額で認められることは難しいのが現状です。
担当部局職員も人間なので「指定管理料は上がって当然」のような態度をとられると、士気が下がります。また、資料作成に当たっては、指定管理者の協力が必要ですから、指定管理者の態度によっては「これ以上、資料作成には協力してもらえない」と考え、担当部局のメンツが保てるのであれば、必要額にはほど遠い、わずかな増額で妥協してしまう可能性も十分にあります。
このようにならないためにも、指定管理者の姿勢は重要です。飲食店等の「価格改定のお知らせ」には、「今後もみなさまにご満足いただけるよう、サービスの向上に努めて参りますので、お客様におかれましては、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」のような記載があります。みなさんも、自治体から資料作成を求められたら、このような趣旨の一文を入れることや、指定管理料増額で新たに実施可能な事項をアピールする等で、担当部局職員の士気をあげることも考えてみてください。なお、念のため記載しますが、このような姿勢で臨むからといって、要求金額まで遠慮する必要は全くありません。(2025.2.24)