従来自治体が建設した施設やインフラに関して、管理運営を行っていくのはその自治体の業務でした。
一般的に事業体には三種類のものがあります。地方自治体である第一セクター、法人である第二セクター、そして地方自治体と法人が共同で出資して設立される企業体である第三セクターです。様々な公的なサービスを提供するのは本来地方自治体などの公的な機関です。しかし、その公的な性質上、柔軟な対応をしていくのが困難な事業もあります。全ての事業を公的な機関で賄うことを考えるとそのコストは膨大なものになります。また事業を管理していくための専門の人材を育成し続けることなど、事業を継続していくことも考えると地方自治体の負担はどんどんと増加していってしまうのです。そのため古くから官営物の払い下げなど多くのことが行われてきました。
現行ある公設の施設の管理などを民営でやっていくことが指定管理者制度なのです。
以前は公的な事業というものを管理するのは第一セクターである地方自治体の役割でした。公共施設として、市役所や警察署、消防署、病院、学校、図書館、博物館、美術館、展示施設、体育館、プール、公園、上下水道施設、道路など様々なものがあります。これらの全ての施設を地方自治体が管理していくことは困難を極めます。それだけの人員を常に確保して公務員として雇っていくにはコストがかかりすぎてしまうことや、またそれらの管理運営や経営ノウハウを全て積み重ねていくことはそうした運営の専門家ではない自治体にとって非常にロスの大きな方法だったのです。しかしそうした公的施設の管理運営は、従来は地方自治体の直営もしくは自治体が過半数の出資をした第三セクターや外郭団体でなければ運営することができませんでした。もちろん市役所や警察署、消防署など公的な性質の強いものは自治体によって運営されなければなりません。しかし、図書館や体育館、プール、介護施設などは類似の民間業者もいるため必ずしも公的機関が行わなければならないものではないのです。
ひとつの解決方法としてPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)という方法が1999年から行われるようになりました。日本語にすれば民間財政主導とも訳せるこのシステムは、サービスを民間業者の資金やノウハウなどによって作り上げ、そのサービスを自治体が購入するものです。ひとつの例として、2005年に埼玉県の越谷市、吉川市、松伏町の住民を対象とした斎場が作られました。越谷市斎場と呼ばれるこの斎場はPFIで作られたもので、完成から20年間民間企業5社で作られた株式会社が管理運営をしていくことになっています。
2003年に地方自治法の一部改正で指定管理者制度が導入されました。この地方自治法は世界的に進む「小さな政府」化の一環として行われた改正で、できるだけ事業を地方自治体に行わせ中央政府の管轄を少なくしていくものです。より利用者に近いところで管理運営を行っていくことによってサービスの向上や運営の小回りが利くことなどが狙いでした。しかし、地方自治体の負担が大きくなれば、それだけサービスの低下に繋がります。そうした問題点に対するひとつの方策として指定管理者制度が設けられたのです。
指定管理者制度は一言でいうのであれば「公設民営」で行う「公務のアウトソーシング」です。先に挙げたPFIが「民設民営」で公的サービスをまかなっているのに対して、指定管理者制度はすでに施設そのものは地方自治体によって用意してあり、そこに法人がサービスの提供を行うというものです。
指定管理者制度を導入する目的としては施設の運営コストの削減、行政コストの削減、行政組織の見直しや外郭団体への業務委託の見直し、サービスの向上、住民自治の拡充などがあります。法人を含めてサービスの見直しをすることによって、競争力を持った施設運営を行うことができると考えたのです。
自治体が指定者管理を指定するためには公募を行います。単純な入札方式で価格競争を行った場合、その業者が公共サービスとして十分なものを提供できない可能性があるため、プロポーサル方式で指定業者の選定を行うこともあります。プロポーサル方式というのは企画提案を業者に提出してもらい、その中から最も目的に則したサービスを提供できる業者を選定するというものです。
この方法で業者を選定したのち、地方自治体は業務範囲の規定やその委託業務に関する条例の制定などを議会で行います。なお、通常の業務委託は1年単位で見直しという形をとりますが、指定管理者制度を利用した場合は期間が複数年に渡ることが一般的です。また、管理委託という形ではなく行政処分という形で執行されます。そのため単年である管理委託と比較するとじっくりとサービスの提供をすることができるのです。しかし、一旦指定管理者に選ばれて終了というわけではなく、年次ごとに業務報告書を提出しなければなりません。また、その指定管理者指定をしてもらう段階で自治体からの要望や目標などを示されることがあります。それらの要望に対してきちんと施策を行っているのかどうかということが評価の対象になるため、そうした目標を達成できるよう改善提案はしていかなければなりません。改善が見られなかった場合には規定期間が終了したのちの継続がなくなる可能性があります。また業務内容に非常に大きな問題を抱えていた場合、規定期間中であってもその業務が停止される可能性もあります。
● 自社のネームバリューを高める
では法人にとって指定管理者になることにどのような利点があるのでしょうか。最も大きいのは法人としての信頼・信用を得ることができることがあります。公営施設を管理運営している、もしくは運営していたということは地域に対する信頼にもなり、また法人としての名前を公告するひとつの機会にもなります。
● 運営による経験の築盛
また、運営していくうえで様々なノウハウを吸収できるという点もメリットです。様々なノウハウはひとつの法人を運営していくうえでの財産になります。施設を建設して運営することは法人にとって非常に大きな予算を割く必要があります。しかしそうした予算を割くことなく、公共の施設を利用してある事業を運営して行くことができるというのはそれだけで法人の大きな経験そして財産になるのです。
● 投資の少ない事業展開
事業展開をすることができる点も利点のひとつでしょう。現在別の場所で展開している事業のノウハウを生かし、新たな事業を新しい施設を建設することなく始めることができるのです。ノウハウの吸収の部分でも挙げたことではありますが、公的施設を利用して事業を行えるというのはそれだけで法人にとって大きなメリットになるのです。
● 資金面での利点
最後に資金の面での利点もあります。多くの場合、指定管理者には自治体から指定管理料が支払われます。そのため一般的な企業のように資金繰りに大きな労力を割くことなく、事業運営をすることができるのです。業務内のサービスの部分では非常に良いものを持っていて収支の面でも問題ない企業もいます。しかし資金繰りの面で大きな問題があればその部分に企業全体の人的資源の多くを費やしてしまい、満足のいくサービスを提供できていないという場合もあります。こうした企業は指定管理料という安定した予算を得ることによってそのサービス面での大きな成果を挙げることができるのです。
指定管理者が行っている改善内容として、自治体に評価される大きなものとしてサービスの向上と、安全性の向上があります。サービスの向上と言っても、内容の改善というのは自治体がその評価をするにはなかなか判断の材料が難しいということがあります。評価をする際に最も分かりやすいのは数字です。よくあるものとして、利用者の人数が増えているかどうかというものをひとつの指標として取り扱うことがあります。サービスが向上していると指定管理者側が思っていてもどんどんと利用者が減少しているというようでは、自治体の担当者はそのサービスの内容に対して疑問を感じざるを得ません。そのため、企業努力として利用人数の向上に努めなければなりません。
もうひとつの改善点として安全性の向上があるでしょう。自治体が運営する施設の大きな売りとして安全、安心というものがあります。市がやっているのだから、町が運営しているのだから、という思いから利用している人も多くいます。一度事故などがあればその信頼は大きく損なわれてしまうことになりかねません。そのため指定管理者はその安全に関しては細心の注意を払う必要があるのです。
指定管理者制度はあくまで公的施設の管理を指定管理者に任せているというものです。「公の施設が民営化された」もしくは「公的施設が払い下げられた」と判断されて私物化されていると判断されないように担当者が確認を行っています。
そのために自治体の担当者が行っていることが多くあります。ひとつめは定期的な収支報告会や運営協力会議など自治体と指定管理者の間での話し合いや連絡相談会を設けることです。話し合いの場を持つことによってまた指定管理者に報告をしてもらうことによって、その指定管理者が適切な運営を行っているのかをチェックすることができ、また何か問題が発生していないかという確認をすることができるのです。もちろん指定管理者自身が自らの運営に問題が発生していることを報告することはないでしょう。しかし収支報告などを確認することによって、運営者ではなく自治体の担当者が外的にその管理が健全に行われていることを確認することができます。
ふたつめは利用者による管理運営のチェックです。公的施設の本来の所有者は自治体であり、またその自治体の住民でもあります。つまり、住民はその施設の利用者でもあり、そして同時にその施設の所有者でもあります。利用を行うと同時にその感想や問題点などを報告する機能を施設そのものに付けることによって、施設運営の改善と適切な運営のチェックを同時に行うことができるのです。
みっつめは会議のような別の場を設けるのではなく、通常の運営状況を地方自治体の職員が訪問することによって、また職員が常駐することによってチェックや指導を行うことによって適切な運営を促すものです。
よっつめの方法として第三者機関によってその施設が適切に運営されているか監査を行うという方法もあります。外部の機関に確認してもらうことによって市民にも納得のいく形で指定管理者が適切な運営を行っているかどうかを確認することができます。
また、その施設で働く人員に関しても自治体がある程度把握して管理していく必要性があります。全ての人事を指定管理者に委託してしまった場合、その指定管理者から別の指定管理者に移行する際に引継ぎがうまく行われないという可能性もあります。またもともとそこで働いていた職員がいなくなることは雇用の確保という面でも、またその施設の私物化を防ぐという面でもある程度の管理が必要になります。
指定管理者を公募する際にはホームページなどで公表します。要項が発表されてからおおよそ半年で指定管理者を決定するのが一般的です。その決定には大きく分けて二段階から三段階の審査を必要とします。第一段階で書類の提出。第二段階でプレゼンテーションなどの事業についての具体的な審査。第三段階で最終候補に絞り、その後実際に事業を行う企業を選定します。二段階しかない場合は書類の提出と同段階で事業に関する具体的な審査も行い、最終候補を絞ります。
公募の日程の一例は以下の通りです。( )内は公募開始からの期間です。
公募要項発表、質疑受付開始
説明会、見学会(一週間後)
申請書類の受付(約一か月後)、書類の締め切り(約二か月後)
一次審査・書類審査(約三か月後)
二次審査・プレゼンテーション(約四か月後)
指定管理者候補者の発表(約四か月半後)
指定管理者の指定(約六か月後)
あくまで上記の日程は一例でしかありませんが、公募開始から指定管理者として指定されるまでの流れとおおよその期日がわかるはずです。上記の例では指定管理者の決定がされるまでにおおよそ半年の期間がかかっています。場合によってはそれぞれの締め切りがもっと早いケースやもっと緩やかなケースもありえます。しかし公募開始からおおむね書類提出まで一か月、具体的な審査まで三か月ほどしか期間がなく、指定管理者が決定するまで六か月ほどの時間がかかるのが一般的です。
指定管理者になるためには公募されたものに対して書類の提出を行わなければなりません。
応募の際に必要になってくる書類としてはその事業者自身の詳細を説明する書類と事業計画に関する書類の提出を求められます。一例として、次のような書類を提出することがありました。
● 事業者自身の詳細を説明する書類
指定管理者申請書、宣誓書、法人の登記事項証明書、印鑑証明書、預金残高証明書、事業者概要、直近2期分の納税証明書、担保提供資産についての書類、債務の保証についての書類、類似施設の管理運営実績についての書類、情報セキュリティ確認チェックシート、労働環境チェックシート、会社案内など
● 事業計画に関する書類
事業者概要(法人などの概要、事業経歴、役員名簿、法人運営理念、障害者雇用率など)、資金・収支計画書、人件費の積算内訳、施設運営に関する考え方についての書類、管理運営責任者の経歴についての書類、職員の管理表、職員の確保に関する書類、複数の書類を効率的に管理するための取り組みについての書類、法令を遵守した個人情報に対する取り組みについての書類、環境に配慮した施設運営に関する取り組みについての書類、不法行為に対する対策についての書類、再委託を予定している業務についての書類、受託経費見積書
● 受託運営に関する書類
提案事業計画書、自主事業計画書
● 安全対策・危機管理に対する書類
安全に対する考え方についての書類、施設などに起因する事故を防ぐための取り組みについての書類、施設内で事故が発生した場合の対応についての書類
● 地域との連携・区民協働に関する書類
地域との連携とボランティアの活用や育成についての考え方と取り組みについての書類
これはあくまで提出書類の一例です。この例は比較的詳細な書類の提出を求められた場合の例です。一般的な書類としては「申請書類」「申請団体に関する書類」「事業計画についての書類」「事業に関するPR」の四種類の書類の提出を求められます。「申請書」「誓約書」が申請書類として、「代表者の履歴」「役員名簿」「税務、登記、印鑑証明書などの法人や団体に関する各公式書類」「法人の説明」。申請団体に関する書類として、「運営方針」「人員の確保」「改善内容」「会計や収支についての書類」などが事業計画に関するもの。そして「過去の実績」「自己PR」そしてその事業に関わる内容に関する書類。これらの書類の提出を求められることが一般的です。これらの書類を自治体に指定された様式で記入していきます。公募から書類の受付締め切りはおおよそ1か月から2か月で行います。その後1か月ほどで書類に関する審査が行われます。
実際に自治体が公募を行ってから書類の作成を行い提出するには1か月という期間は短く感じるかもしれません。しかし多くの補助金やその他の公的な事業というものを考えた場合にこの期間というのは決して極端に短いものではないでしょう。指定管理者として事業に応募するには、その準備も含めて専門のスタッフと応募に費やす時間が必要になるのです。
書類審査後には二次審査としてプレゼンテーションや質疑応答など選考委員会の前で実際に業務内容に関しての説明を行います。自治体によっては選考委員の名簿が開示されていることもあります。選考委員会に関してはその自治体の職員のほかに第三者的な意見を求めるための専門家などがいる場合もあります。また、どういった点を評価するのか具体的な採点方法はどういうものかなどが公募の際に明示されていることもあります。選考を受けるうえで有効な情報はきちんと入手しておく必要があります。
各自治体は指定管理者に委託したい業務に関して、ホームページなどで公募を行います。それらの公募に対して法人が応募をして自治体によって選定されます。指定管理者に指定されるためには下調べが必要になります。まず必ず調べておかなければならないことは公募されている事業が以前から指定管理者に行政処分という形で業者が入っていたものなのか、業務委託として外郭団体に委託していたものを改めて公募をして指定管理者を募っているものなのか、今まで自治体自身で管理していたものを新しく指定管理者を探そうとしているのかによって状況が変わってきます。
以前から指定管理者が指定されている場合には現在の指定管理者の評価が審査に大きく結果に影響してきます。その管理者が大きく業績を上げている場合、おそらく新しい業者が指定管理者として新たに選定されるのは困難でしょう。現状うまくいっているものをわざわざ変更しリスクをとるためには、それをはるかに上回るメリットと確実性がなければならないからです。そのため、このようなケースでは新しく指定管理者として指定されるのは非常に難しいと言えるでしょう。逆に指定管理者がその期間中に満足のいく業績を上げられていない場合には自治体の担当者は指定管理者の変更を考えているため比較的新規参入が容易になります。一般的に言われる基準としては前年度との数値の比較です。利用者人数、収支などが上がっていて、かつ事故や問題などがなければ担当者は比較的指定管理者の変更は考えないでしょう。
業務委託していたものを指定管理者の公募に変更する場合は、自治体としてふたつの狙いが考えられるでしょう。ひとつは現行の第三セクターや外郭団体などを事業として停止させ別の法人に業務委託をしたいという狙い。ふたつめは現行の業者から変更するつもりはないけれども公平性を保つために公募はかけるという場合です。前者の場合は現行から変更する予定があるため新たな業者が参入する余地は往々にあると考えられます。しかし、後者の場合は現行の業者がいる以上、参入はなかなか難しいでしょう。
最後の新しく指定管理者を設ける場合には十分に挑戦する価値があると考えられます。アウトソーシングをすることによるスリム化やコストの削減、サービスの向上や業務時間の拡大など、自治体がその施設を維持していくことを考えるうえで指定管理者に何を求めているのかということをよく考えましょう。そのうえで自身の事業がそれを解決するに当たって適している事業であるということを上手にアピールすることが大切です。
現在まで、指定管理者が参入した場合のコストの削減は、民間企業、非営利団体、自治体出資団体で比較すると明らかに民間企業が最も大きくなっています。また指定管理者に指定された業者が新規参入業者であった場合、明らかに高い削減率を誇っていること、また応募者が多くなればなるほどコストの削減率が大きくなる傾向にあることから、管理者制度の導入は公的な性質を持っているとはいえ、市場原理に働いて指定されている傾向にあり、コストの削減が大きな業者や法人であるほど選ばれやすいということが全体の傾向としてあるのです。
コスト削減は指定管理者制度を自治体が利用する理由のひとつではありますが、必ずしもそれだけが目的な訳ではありません。サービスの向上などもその目的のひとつとされています。しかし、そのサービスを公平に評価する方法が確立できていないという問題点があります。そのため評価の方法として、単純にコストの削減や利用人数の増加というわかりやすい結果を求める傾向にあります。応募する際には質的な面だけでなく、担当者や議会を納得させることのできる数字も用意しておく必要があります。
自治体が指定管理者を導入する場合に、問題点として雇用問題があります。自治体がその施設を直営している場合、もしくは第三セクターや自治体出資法人が運営を行っている場合、そこには現行働いている職員がいます。その内訳として地方自治体から出向している職員とその団体の固有職員がいます。前者の地方自治体の出向職員の場合はその施設が指定管理者によって運営されるようになっても、もともとの所属である地方自治体に戻ることができます。しかしその自治体出資法人がその施設を運営しないことになれば、その法人は解散するということも十二分にありえます。そうすればその法人の固有の職員は職を失ってしまうことになりかねません。過去のこうした問題としては、明らかに高い評価を得たNPO法人が指定管理者として選定されず、相対的に評価の低い従来の出資法人が選定されたのはそうした固有職員の雇用を守るためではないか、と問題になったケースがあります。また一旦は民間企業を指定管理者に選定したものの、自治体出資法人の職員が大量解雇されることが明らかになり、議会の反対を受けて指定管理者の取り消しが行われたということもあります。
自治体によっては応募の段階で人材の雇用方法や育成に関する書類の提出を求められる場合も多くあります。その背景にはそのような現行の職員の雇用を確保しなければならないという問題があるのです。そうした雇用問題を解決できる方法があるというのも、ひとつの指定管理者に選ばれる基準にもなるでしょう。
サービスを提供するうえで改善点が多くより良いサービスを提供することができればその分多くの収入が得られる可能性があります。特に利用者から利用料をとる施設であれば利用者が増えれば増えるほど収入は得られます。しかしその増加した収益を従業員に賞与として当てた結果、自治体からクレームが入り賞与を支払うことができなくなった例などもあります。企業が出した知恵や蓄積してきたノウハウによって、コストの削減や収益の増大が起こった際に指定管理者に対してどのようなインセンティブが得られるかということや、また反対に大きく収益が増大した際には施設の設置を行った自治体側に一部還元するような契約も考えられます。指定管理者制度は法人が行う事業ではあるけれども、そのサービスは公的な性質を持ったものであるということをふまえて指定管理者と自治体の間で契約を行う必要もあります。
国単位で様々な公営事業を民営化していくことによって、そのサービスの改善そしてコストの削減が行われてきました。また小さな政府化を進め多くの事業を地方自治体に分割していった結果、その地域に則したサービスが展開され地域に根差したサービスが行われるようになりました。しかしその結果地方自治体の負担は増加してきました。そうした負担を第三セクターや自治体出資法人という大きな形ではなく、指定管理者に任せることによって改善していく方法はサービスの向上やコストの削減という方法のひとつとして注目を浴びる方法です。しかし、その一方でいままでそうした民間へのアウトソーシングを行ってこなかったため、指定管理者に事業を委託するノウハウがきちんと確立していないことや、現存している業者をいかにして解散させていくのかということが問題点でもあります。
一方で指定管理者になった場合に大きな力を発揮できる企業は多くいます。しかし、そうした企業の多くが指定管理者制度を理解していないということや仮にその制度を利用して参入しようとしても公募に対して応募するノウハウや今まで付き合いのなかった公的機関に対してどのように付き合っていくべきなのかという知識がないことがあります。
一方でそうした公共サービスを提供するものとしてどのようにサービスを提供し業務改善をしていくのかという情報を得ることも必要です。
指定管理者情報センターではこうした公と民の事業を結びつけるための情報提供を行っています。指定管理者選定やモニタリングに従事した経験から、どのような考えや提案が自治体から高い評価を得られるのかを紹介していっています。自治体がどのような発想で指定管理者制度を利用するのか、民間とどのように違うのかということを知ることは応募を行い、管理運営を行っていくうえで重要な情報になるはずです。
弊社では、指定管理者制度に関する個別無料相談会を全国各地で開催しております。また本社じや東京オフィスでは随時相談会を実施しております。指定管理者の公募に応募したい、指定管理者として現在管理運営を行うなかで自治体に対してどのように対応して良いのかわからないという場合にはお気軽に相談ください。