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住民投票は、住民側がほぼ自由に投票依頼運動ができるのに対し、役所側はほとんど何もできませんので、一般的には住民側が有利です。いろいろ見方はあると思いますが、住民投票という有利な舞台で、しかも、子どもたちの学習環境を改善するというテーマで行われたことを考えると、賛成票が有権者全体の5分の1程度しかないというのは、「伸び悩んだ」というのが多数意見なのではないかと思います。
ちなみに、所沢市の人口統計によると、小中学生の人口は、1学年あたり2,900人前後で、9学年(小学校1年生から中学校3年生)で約2万6,000人となります。ここから先の推論は、間違っている可能性もあるという前提で読んでいただきたいのですが、少し乱暴に積算してみると、おおざっぱに言って、両親は、(2万6,000人×2)から、兄弟が小中学生という場合の両親の重複分やシングルマザー(ファーザー)などを差し引いて3万〜3万5千人前後ではないかと推測できます。
エアコンが導入されない小中学校もあるので、小中学生の両親全員が賛成するとは限りませんが、それにしても、両親に加え、賛成する可能性が高い祖父母、学校の先生、近い将来に受益がある0歳児から5歳児の保護者などをプラスすると5万票くらいの賛成票を獲得するメドは十分に立ちます。ということは、「受益を受ける関係者以外の賛成票は極めて少なかった」ということも言えるのではないかと思います。
善悪は別にして、最近の多くの公共施設には、このような傾向があります。いくら、社会的に意義のある業務を実施していても、また、重要な役割を果たしていたとしても、住民が、自分の利用していない施設(=自分にとって受益がない施設)への税金投入に賛成することは希だと考なければならない時代になったのかもしれません。
学校でさえ、税金投入に否定的な意見も少なくないわけですから、公園、スポーツ施設、文化施設、会館施設などはこの傾向がもっと顕著であると考えるべきです。私の経験では、「利用者はほとんど常連客」がという施設が少なくありません。このような施設は、ヘビーユーザーがいるので、延べの利用者数は確保できるかもしれませんが、人口全体から見ると、「ほとんどの住民は利用した経験がない」ことから、施設への税金投入を支持する住民が極めて少ないという結果になりがちです。
ところで、役所内で予算折衝を行う際、住民の声は、みなさんが考えている以上に、大きな影響があります。国の予算折衝でも、「はちまき」を身に付けた各種団体が役所に陳情するニュースを見たことがあると思いますが、あれは、多くの国民の支持があることを少しでも役所側にデモンストレーションすることが、自分に恩恵がある予算確保に役立つことをわかっているからこそ(多人数が高い旅費を払って上京してまで)行われています。都道府県や市町村でも、基本的には全く同じです。
少し極端な例ですが、年間の利用者が10万人の施設でも、常連客1,000人が年間100回利用している場合、施設への税金投入の支持者は1,000人ということになりますが、年1回の利用者が10万人の場合は10万人が施設への税金投入を支持する可能性があります。選挙を強く意識せざるを得ない首長や議員がどちらの施設に優先的に予算をつけたいかは明らかで、その意向を受けざるを得ない役所幹部も同じような判断をしがちです。このため、指定管理料や大規模修繕など、みなさんの管理運営と関係の深い予算がどの程度確保できるかも、実は、人口全体の中で、どの程度の割合の住民が利用しているかと密接に関係しているのです。
利用者をできる限り増やすことはもちろん重要ですが、できれば、その内訳、すなわち、幅広い層の住民に利用されているかどうかにもぜひ注意を払ってください。常連客を囲い込むことで安心するのではなく、新規利用者をいかに集めているか、もしくは、新規利用者を集める工夫をどのように行っているかは、予算の確保しやすさに関係しています。担当課も、予算確保の苦労が少ない方がよいので、結果として、自治体の評価や指定管理者選定にも大きな影響を与える重要事項であることを再認識していただきたいと思います。(2015.2.22)
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