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自治体の監督行為は担当課によるモニタリングだけではなく、関連している部局による監査(検査)を受けることがあります。担当課と違う部署による監査(検査)ということで、緊張感に欠ける場合がありますが、対応を間違うと痛い目に逢うことがあります。
自治体が実施する監査(検査)は必ず調査目的があります。まず、調査目的をよく理解してください。(わからなければ担当課に確認してください。)
たとえば、出納監査(出納検査と呼ぶ自治体もあります。)は現金収納業務が適正に実施されているかどうかを確認することが目的です。したがって、現金収納業務と全く関係ない利用者の増加対策などは調査対象ではありません。ところが、このような出納監査の調査でも、多くの場合、事前に配布される調査票には、「施設の概要」、「利用者数の推移」、「新たなに実施した管理運営の工夫」などの事項を記入する様式になっており、モニタリングと同様、施設の管理運営全般にわたる監査のように勘違しがちです。
これらは、あくまで、検査する職員が施設の機能や特徴を知るために記入欄を設けているだけであって、検査(監査)の本質ではありませんので、事前の調査様式ではなく、監査の目的に対応した準備を行うようにしてください。
出納監査は公金の収納事務が委任されている指定管理者、言い換えると、利用料金制が導入されていない施設に対して、出納担当部局が行う監査です。この監査は、適正な現金出納業務、すなわち利用者から集めた利用料金を自治体に収めるまでのプロセスが適正かどうかを確認することが目的です。調査様式には、前述した、利用者数の推移や利用者安全対策なども記入する欄があるでしょうが、これらは、監査対象ではないので、極端にいえば適当に記入するだけで十分です。
自治体が求める現金取り扱い方法は、民間企業が考えているより、はるかに厳格なものだと考えてください。率直に言って、自治体水準で現金管理ができている指定管理者は、ゼロに近いと思います。当然、コストや効率性も考慮しなければならないわけですから、すべて自治体水準で実施することは無理と思いますが、以下のくらいのレベルは最低必要だと考えてください。
■毎日の現金チェック
毎日の売上高と現金有高が一致することがまず基本です。このプロセスとして「毎日の営業開始前の複数職員による釣銭の現金有高チェック」及び「毎日の営業終了後の複数職員によるレジ記録と現金有高の一致のチェック」は最低限必要です。また、レジ記録の指定管理期間中の保存、定期的なペア組みかえ、役職者による定期的な現金有高チェックなども本来は実施したほうがよいと思います。
■通帳へ預け入れ
利用者から集めた利用料金は翌営業日に銀行に入金することが自治体水準です。ところが、最近の銀行の経費削減方針により、よほど大きな施設でない限り、銀行が毎日集金には来ません(週2回くらいは来てくれるところが多いと思います。)。職員が毎日銀行に入金行くのは、手間がかかりますし、これは、出納課との間で、効率性か適正な現金取り扱いかでよく議論になる点です。
理解していただきたいのは、仮に仕様書等で週2回の入金でよいというルールになっていたとしても、出納課の監査は、そのルールが適正かどうかまで判断する権限があるということです。週2回というルール守っていれば、とりあえず、指定管理者に落ち度があるわけではありませんが、ルールが不適正だと判断されてしまうと、「今後は毎日入金してください」ということになり、ルールが変更されてしまいます。これでは、結局、指定管理者が実務上の不利益を被るということになるので、担当課と共同戦線を張って、なんとかルールが適正だということを立証しなければならないということは押さえておいてください。
個人的には、取り扱う額にもよるのですが、よほど大きな額でない限りは、週2回くらい入金で十分適正だと思います。金曜日から日曜日までの利用料金がたまっている月曜日は、たとえ銀行が集金に来てくれなくても、職員が入金に行くなどの措置をとり、銀行の都合だけで週2回にしているのではないということを訴えると、最終的には週2回でOKという結論になることが多いと思います。
■盗難防止
利用者から集めた利用料金は、金庫(金庫がないというのは絶対にだめです。)に保管されていると思います。チェックされるのは、そのカギをだれがどのような状態で保管しているかということです。
カギが総務課長等の机の引出しの中に常にあって、だれでも金庫が開けるようになっていませんか。金庫のカギは役職者のうちの何名かが持っていて、役職者立会いのもとにカギを開け、役職者立会いのもとにカギを閉めるというのが大原則です。実務上は、金庫の近くにいつも役職者がいるわけでないでしょうから、このような取り扱いは難しいかもしれませんが、少なくとも監査当日だけでもこのような取り扱いをしてください。
また、ナンバー式の金庫は、定期的(3か月に1回くらい)はナンバーを変更しているかどうかがチェックポイントです。これも実務上は、ナンバーを変えすぎると、結局、机の上にナンバーを貼ったりして、もっと悪い管理状態になってしまったりするのですが、監査では、3か月に1回程度は変更していると説明が全くのでたらめにならないよう、年1回くらいはナンバーを変更してください。
■保険
大きな現金を扱っていない指定管理者には不要でしょうが、利用料金制ではなく(使用料収入が自治体に帰属する)かつ、金庫の中に百万円以上入っていることがある場合は、盗難保険に加入することを検討してください。使用料は自治体の歳入を預かっているだけなので、盗難があっても、納入を免除されるわけではありません。盗難保険に入っているだけで、出納監査の厳しさもだいぶ緩和されるので、保険料が負担できるなら、加入することによるメリットは大きいと思います。
この他にも、監査事務局が行う監査や会計検査院による検査(国の補助金が入っている場合のみ)などがありますが、紹介した出納監査同様、必ず目的がありますので、その目的に対応した対策を実施してください。
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