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前回のA財団の話には続きがあります。A財団が応募しなかった観光物産施設は結局1社(団体)も応募がありませんでした。すると、応募締め切りからわずか10日後に、A市の担当課長がA財団を訪れ、「非公募で指定管理者に指定するので、年間2,850万円で観光施設の管理運営を行ってほしい。」とのオファーを行いました。たった10日間で、指定管理料の上限が、年間450万円も上がったのです。
これには、理由があります。自治体職員にとって、公募で1社(団体)も応募がないというのは最悪の事態です。現指定管理者さえも応募しないということはそもそもの条件設定が間違っていたということですから、担当者には大きな責任が発生しますし、ほとんどの場合、議会に「今議会に指定管理者指定の議案を提出します。」と事前説明しているはずですから、もし議案が出せないとすると、自治体幹部職員の責任問題にも発展しかねません。
したがって、みなさんもご存知かもしれませんが、昨年、愛知県内のある市で、指定管理に応募していない業者の下書き文書を正式な事業計画書と無理やり認定し、指定管理者に選定するというような不祥事が発生します。業者から金品を一切受け取っていない市の職員がなぜこのようなことを行うのか不思議に思う方もたくさんいらっしゃるでしょうが、応募がゼロという事態を避けたいという気持ちは、実は、私にはよく理解できます。(もちろん、決して認められる行為ではありません。)
A市の場合も、最低限、議会に指定管理者指定議案が提出できないという事態は避けたいと考えたのでしょう。ですから、わずか10日間で、年間450万円の指定管理料増額を財政当局などと調整し、A財団にオファーを行ったのだと思います。A財団は、さらにA市と交渉し、指定管理期間を3年から5年に延長すること、自治体が負担する修繕費の区分を50万円以上から30万円以上に引き下げることを条件にA市観光物産施設の指定管理者になることを了承しました。指定管理料が今までの約3,000万円から5%減少し、A市の顔を立てた形にはなりましたが、実質的には、A財団が非常に優位な立場で交渉を進めたことは明らかです。
このことでわかるように、財団が業務を拡大し、公募の条件が悪ければ、現指定管理者にもかかわらず当該施設の公募に参加しない可能性があるという状況は、自治体担当者に大きなプレッシャーを与えます。おそらく、問答無用で指定管理料の上限を大幅に下げられるというような事態は防止できるでしょう。今、管理運営を行っている施設以外でも指定管理者に選定される、あるいは指定管理者以外で新たな収益源となる事業を行うことは、現在の指定管理業務にも大きな波及効果をもたらすのです。
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