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今年度は、ガソリン、重油などの燃料価格が想定よりもはるかに低い価格で推移しました。このため、これらを大量に使用する施設では、想定外の利益が出ていることが珍しくありません。これが主な理由と思いますが、利益に関するご質問を数多くいただいています。
ご質問で多いのは、「利益が出ているので、指定管理料の減額に応じてほしい」という自治体の要請にどのように対応したらよいのかということです。
原則を言うと、ほとんどの場合、募集要項等に「リスク負担」という項目があり、「物価変動」は指定管理者が負担すべきリスクになっています。表現は「リスク」負担ですが、「リスク」を負担する以上は「リターン」を享受できるのは当然のことであり、自治体の要請に応じる法的義務はありません。
とはいえ、自治体には指定管理者を選定する事実上の権限がありますから、「拒否すれば解決」というように簡単な問題でないことも確かです。
このような要請には、「担当部局の判断による場合」と「自治体幹部(総務部長や財政課長など)の判断による場合」の2種類があって、まずは、どちらのパターンかを判断する必要があります。(担当部局が違う指定管理者に同様の要請が出ていれば、自治体幹部の判断です)
自治体からは、「燃料費が上がった場合は考慮するから、指定管理料の引き下げに応じてほしい」というような形で要請されると思いますが、自治体職員が将来の指定管理料引き上げを約束することはできません。「考慮する」・「努力する」など表現は、「約束する」とは全く違う意味で、現実には、いったん引き下げた指定管理料を元に戻すことは相当困難と考えるべきです。
このため、担当部局の判断による要請であれば、指定管理料引き下げ以外の手法を交渉すべきです。具体的には、「今年度は、想定外の利益が出たので、この分は住民のみなさんに○○○で還元させてください。」という言い方で、指定管理料の減額をサービスの向上に置き換えることを交渉してください。
「○○○」には、新たなイベントや自主事業の実施や本来自治体が行うべき修繕などを入れることが考えられます。(利益還元は、27年度中に実施する必要はなく、28年度の早い時期であれば問題ありません。)
ほとんどの場合、担当部局の判断による指定管理料の減額要請は議会対策上の理由です。したがって、議会に説明ができればよいのですから、指定管理料の減額の代わりにサービスの向上が実現するのであれば、自治体を納得させることができるでしょう。(利益が出なければ、翌年度以降は、中止してもかまいません。)
一方、自治体幹部の判断による場合は、担当部局の裁量の余地が少ないので、サービスの向上に置き換えることは難しいでしょう。担当部局にも協力してもらって、燃料価格下落の影響をできる限り小さく積算してもらい、最低限の指定管理料の減額に応じるのはやむを得ないと思います。
この場合、将来、燃料価格が高騰した際に、指定管理料を増額する可能性を高める作業を行うようにしてください。具体的には、引き下げに応じた他の指定管理者と連名で、自治体トップに対して、燃料費の価格が上昇した場合は、指定管理料を増額することを要請する文書を提出するとともに、知り合いの議員にも議会で質問してもらって、「燃料費が高騰した場合は指定管理料増額を検討する」などの前向きな答弁を引き出すようにしておくと、燃料費が高騰した際に、指定管理料増額を自治体に要請する根拠にすることができます。(2016.3.17)
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