指定管理者の方や、これから指定管理者を目指す方のための情報サイト
株式会社指定管理者情報センター
自治体の指定管理者選定・モニタリングの経験者によるサイトだから、
他のサイトでは得られない情報が満載!
本 社:〒770-8063 徳島市南二軒屋町神成831-16
TEL:(088)625-1339 FAX:(088)678-5804
東 京:〒105-0013 東京都港区浜松町2丁目2-15
浜松町ダイヤビル2階 TEL:(03)6690-2685
一昨年くらいから、「自治体と指定管理料の増額を交渉する方法」 についての質問をよくいただくようになりました。指定管理者制度が導入されてからしばらくは、デフレ経済で物価が下落しており、指定管理料が変わらなくてもなんとかやりくりできていたのでしょうが、最近は人件費の高騰が著しく、コスト削減が限界に達していることが要因なのだと思います。
みなさんも実感していると思いますが、多くの自治体は財政難で、指定管理料の増額は非常に困難なのが現実です。募集要項に 「著しい物価上昇」 を自治体負担としているケースが結構ありますが、人件費はともかく、日本全体の物価上昇率は日本銀行が目標としている2%に及ばない状況であり、リスク分担表のみを根拠に指定管理料の増額を求めても、ほぼ間違いなく門前払いされるでしょう。
けれども、だからといって 「あきらめる」 のがよいとは言えません。黙っていると、今までの流れで、次期公募の際に指定管理料の上限額がさらに下がる可能性があるからです。指定管理者が経費アップに困窮していることを正確に伝えることで、少なくとも、担当課が次期公募での指定管理料の上限額引き下げを回避する努力を最大限行うという効果は十分期待できます。
ただ、自治体に要望を行う際は、指定管理者としての評価を下げられないためにも、適正な形で要望を行う必要があり、この手法を簡単にご紹介します。
1.収支を赤字にする。
指定管理業務の収支決算が黒字なのに指定管理料増額を要望しても説得力がありません。経費が増えていることを反映させて収支を赤字にすることが必要です。以前は、収支を赤字にすると、「当初の見積もりが甘かった」 として指定管理者の評価を下げる自治体が結構ありましたが、最近は、明確な理由があればそうでもありません。ただ、前期まで指定管理部門の収支が黒字なのに、いきなり大きな赤字が出れば、収支の信憑性が疑われる可能性があります。 「顧問税理士から部門ごとの収支をできる限り正確に算出するように指導されました」 などの理由を添えて自治体に報告する必要があります。
2.良好な管理運営を行う。
自治体が指定管理者の赤字のみを理由に指定管理料を増額することは困難です。 首長のトップダウンなら話は別ですが、通常は 「良好な管理運営を行っている指定管理者に引き続き応募してもらうため」 という理論構成が求められます。したがって、利用者数の増加や利用者アンケートでの良好な結果が必要になります。(この条件が満たされない場合は、増額要望を行うこと自体で、自治体の評価を下げてしまう可能性があります。)
3.資料を作成する。
口頭での要望は意味がありません(担当者が上司に報告しないことがほとんどです)。資料を作成し、資料をもとに要望を行うことが必要です。資料には、以前 (原則として前回の指定管理期間の最終年度) か、または、募集要項に自治体の積算額が記載されている場合は当該積算額と比較して、経費がどの程度上昇しているかを経費項目ことに記載してください。
4.自助努力を見せる。
「経費増加分をすべて指定管理料で補てんしてください」という要望は無責任というのが自治体の論理です。例えば、経費が200万円増加している場合、「100万円は当社の経営努力で対応しますので、残りの100万円については、指定管理料の増額をお願いします。」というように、自助努力があることが指定管理料増額の大前提です。
自治体職員の感覚からすると、増額できる場合でも 「折半」 すなわち、やむを得ない経費増加額の半分くらいが相場観のように思います。ただし、最初から半額を要望する必要はありません。交渉ですから、経費が200万円増えているのであれば、最初は150万円の増額を要望して最終的に100万円で妥協することを目指すというストーリも十分あり得るでしょう。
経費増加の全額が認められない可能性が強いのですから、例えば、本社で指定管理業務に従事する職員の人件費なども含めて、経費増加額を (虚偽と言われない範囲で幅広く解釈し)増やすことが重要だと思います。(2018.1.29)
→[管理運営に必要な知識・テクニック]に戻る